三男に食料買い出しに付き合ってもらう。日も暮れてからの買い物は気分が重い。
帰り道、二人でパンパンに詰め込んだカートを引きながら、赤信号に足を止め、かじかむ手をこすり合わせる。
「お母さん、冬の匂いがするね。ボク、この匂い大好き。」
三男が言う。「冬は、透き通った空気の匂いがするんだ」と、付け加えた。
街路樹の銀杏がこぞって葉を落としている様子をふと見上げながら、「見てみて! 綺麗だよ、ほら。写真撮りたいから、お母さんのスマホ貸して!」と嬉しそうに声を弾ませる。
冬の匂いも、銀杏の葉が散りゆくさまも、三男に言われなければ、何一つ気づかない私。鈍った心に渇を入れてくれる子ども。
こんなとき、子どもおかげで人生を二度楽しませてもらってるなぁと思う。
ありがとう、三男。お母さんも冬の匂いを胸いっぱい吸い込んで、あなたのおかげでスペシャルひゃっほうだぜ!