風呂上りの三男が、パンツを裏返しに履いて出てきた。それをすかさずチェックした長男、「なんだ、お前。正義の味方、裏返しパンツマンか??」と、三男をからかう。三男は、慌ててパンツを履き替えながら懸命に長男に言い返す。
「違うよ! そんな正義の味方、そもそもいないし!!」
「いるよ、お前だよ!…裏返しパンツマン。け、しょぼい正義の味方だな」
「なんだよ! お兄ちゃんなんか『悪の味方』のくせに!!!」
聞いていてあまりに馬鹿らしい兄弟ゲンカに吹き出す私。つい口をはさんでしまう。
「ちょっと待ってよ。『悪の味方』ってとことんショボくないか?? どうせなら、『悪の権化』のほうがカッコいい。でも、母としては可愛い息子には悪の味方にも悪の権化にもなってほしくないけどさ」
するとすかさず長男は悪ノリ。スーパー戦隊ばりの悪のポーズを決める。「たしかに。悪の味方は、しょぼすぎる。ははははは、オレは悪の権化だぁ~!」
あまりの馬鹿らしさに、小競り合いも終了。で、皆、大笑い。
そして、ここから長男の独壇場がはじまった。「正義の味方VS悪の権化」がいかに素晴らしいストーリーの構図か、それにひきかえ今の世の中は、しょぼい『悪の味方』と胡散臭い『正義の権化』がいかに多いことか…そんな主張を繰り広げる。
ちびっ子の頃、スーパー戦隊狂だった長男らしい、ふざけた話。
ふむふむ…と笑いながら聞く私。が、常識人のフリして実は『悪の味方』だったり、正義を振りかざして実は悪徳の塊『正義の権化』的な大人なんて、案外、世の中にゴロゴロしてることに気づかされる。6つも年下の弟をからかうしょぼい兄だが、16歳の目もあなどれない。
1人、パンツを裏返して履いてきただけで、これだけ盛り上がれる我が家。ビバ、『正義の味方VS悪の権化』か?!
くだらなそうでじつはまじめな話にひゃっほうだぜ♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。♦