続) 母の引き出しから出てきたもの

*亡くなった母の引き出しから出てきたもの(前記事)の続きです

母との約束ため次男の卒業式と入学式に着ていく着物を探す。父に見てみろと言われた居間の箪笥の引き出しを引くと、着物が幾枚も丁寧に仕舞われ重ねられていた。

着物に巻かれたたとう紙には、そのひとつひとつすべてに、その着物がどんなものなのか書かれている。

母はこれをいつ書いたのだろう。この夏か? もしくは入院中に外出許可が出た日か。それとも、私の家から近かった緩和ケアの病院を勝手に退院して一時自宅に戻っていたときか…。

「かあちゃんが糸から紡いでくれた正絹です。仕立て直しています。ものも仕立ても、とてもいいです。大切にしてください」

「お父さんと結婚してすぐに作った着物。月賦だけど、初めてお父さんに買ってもらったもの? だと思います」

…などなど。思わず苦笑いをしながらも、途中から、涙で読めなくなる。この着物は、こんなときに、こんな季節に。合わせる帯の指示もある。そっけないようで、しっかりと書かれている。

何枚かに「馬の帯が合います」という言葉が添えられていた。馬の絵が入った帯のことだ。まったく着物など着ず、あえて興味も持とうとしなかった午年の私に着てほしいと母は言っているのだろう。

これが私たちへの手紙なんだ。最期まで母らしい。

私が子の親になってから、母は一番の協力者だった。息子たちにとっては第2の母と言っても過言ではない。

「仕事もいいが、子どもの気持ちをしっかりみつめろ」「旦那を大事にしろ」と口癖のように言っていた。私へのダメ出しは、自分ができなかったことへの悔いだったのか。

病床の母に今までの感謝の思いを伝えると、「ずっと自分のことに夢中で、家族を二の次にしてきたから罪滅ぼしのつもりでやってきたのよ、気にすることはない」と言った母。何を今さらと思う。

大嫌いだったけど、大好きだったんだ。大事だったんだ。

次男の卒業式と入学式は、私にとっても1つの節目。ババの着物をババに負けないくらいバリッと着て再スタートしよう。

この半年、おろおろとメソメソと格好悪いところばかりを子どもたちに見せてきた。これでそれも終いにしなくては…。

だから、天まで届くよう、心の中でひゃっほうと思い切り大声で叫ぼうと思う。

ありがとう。そして、これからもよろしくと。
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