珍しくダンナが2人で映画に行きたいといった。そんなの何年ぶり?って感じ。何、観るの? って聞くと「そして父になる」だという。二つ返事で、行くと言った。私も観に行きたかったから。是枝裕和監督と言えば「誰も知らない」を1人で観に行った以来だ。
あのときのことは今でもよく憶えている。涙があふれるのと同時に何かとてつもなく重いものを背負ってしまったような…そんな気持ち。今回もそれに通じるものがあった。父親の立場で観るのと、母親の立場で観るのとでは、きっと風景も違うだろう。
ネタばれになってしまうから詳しくは触れないけれど…
十月十日自分の命とは異なる命を腹に宿し、産道でつながり、大きな苦しみと痛みとともに自分で産み、胸に抱いて乳を含ませるという過程を経た人間が母になるのと、男が父になるのとでは、その過程がまるで異なるという、当たり前のことに改めて思い至る。
途中から、私はずっと泣きっぱなしで、冷静な気持ちで最後まで観ることができたという自信がない。自分が母になり、ダンナが父となってからの15年の月日が、ぐるぐると心と頭の中でめぐる。もし、時間が許すのならばもう一度じっくり観たい。すでに決定しているというリメイク版も観に行きたい。
珍しく映画に誘ってくれたダンナと、日曜日の午前中留守番をしてくれていた三兄弟と、こんな気持ちを届けてくれた是枝裕和監督とこの映画に、大きな感謝を。
「そして父になる 」考えさせられる映画でした…ひゃっほう!