自分が中学生のころ。
悲しいことがあって、誰にも何も言えず泣きながら1人で教室に残っていたことがある。
冬も近づいた、ちょうど今時分の季節。窓から外を眺めると夕暮れの中、色づいた銀杏が中庭で舞っていた。静かに私を慰めるように。思春期の心を癒してくれたのは親でもなく、友だちでもなく、あの銀杏だった。
陽の光に照らされた黄色い銀杏を見ると、不思議と今でも、あのときのことを思い出す。
中学生だった自分…。もう、何十年も経って、すっかり大人になり、親になり、おばさんになったけど、そんなに昔のようなことでもない気がする。
子どもたちも、もうそんな年頃に近い。子どもたちが悲しいとき、何が彼らを慰めてくれるんだろう。そんなことを思いつつ。きれいに晴れた空に光る銀杏を見上げる。
頑張れよ、息子たち。
頑張れよ、自分。
今朝は、心の中でひゃっほうと。小さくつぶやくことにしよう。